やべ、どうしよ
…どうしたよ
しょーよーのだいじにしてた湯のみ、割っちゃった
あーあ、先生に言いつけてやろ、クルクルパアがやっちゃいましたーって
ふざけんなよバカスギ!アイツに云うなって、怒ると怖いんだから!
誰がバカスギだ!テメー、絶対チクってやっからな、先生に!
ふざけんなよ、絶対言うなって!
あー絶対言ってやろ〜言ってやろ〜
ヤメロっつってんだろこのバカスギ!ウスラハゲ!うんこ!
…だ、誰がウスラハゲでうんこだ!ウスラハゲはヅラだろうが!
あーあーヅラに言ってやろ〜高杉がウスラハゲでうんこっつったって、ヅラに言っちゃお〜
ウスラハゲでうんこっつったのはテメーだろぉぉぉ!!ぶっころすぞ!
あ、暴れんなって!ああああああ!!
……あ
どうすんだよバカスギ!コレしょーよーの大切にしてた盆栽じゃん!割れちゃったじゃん!
お、お、おれのせいじゃねーし!元はと云えばお前が悪いんだろうが!
何でだよぉぉぉ!バカスギが暴れるから粉々になったんだろ、コレ!おれのせーじゃねーし!
お前のせいだし!おれのせいじゃねーし!ふざけんなよクルクル頭!
んだとォウスラハゲうんこ!ウスラんこ!
合体させんじゃねーよ!そんな言葉ねーから!
…何やってんですか、貴方たち
……
……
朝から騒々しいですよ、全く
……
……
アレ、何で目ェ合わせないんですか、二人とも
……
……
…まさか…何か隠し事でもしてるんじゃないですか?
……し、してねーし!暴れまわったりとかもしてねーし、盆栽とかぶじだし!
…こんのバカ!
…盆栽?アレ、ちょっと晋助さん、後ろに隠してるもの見せなさい
……
……
あ、コレ、私の盆栽…ちょっと、何てコトするんですか君達!木っ端微塵じゃないですか、コレ!
おれじゃねーもん!コイツがやったんだもん!
はァァァァ?!何云っちゃってんですか、オメーも先生の湯飲み粉砕した癖に!
えええええちょっとオオオオ!!銀時、それ本当ですか?!
ば、バカヤロー!何でバラしちゃうんだよ、さっきあんなに言わないでってゆったのに!
るせェ〜てめーが何でもかんでも人のせいにするからだろうが!自業自得だバーカ!
ちょっと、君達話聞いてます?!コラ、先生の方向きなさいってば…
何だとこのやろー!おもてでやがれ、結婚だ結婚!
それ言うなら決闘だろうがぁぁぁぁ!上等だこんにゃろー、今日こそ決着つけてやるぜ!
だから、話聞いて…
泣いて土下座しても絶対ゆるさねーかんな!覚悟しろよ!
そりゃこっちの台詞だ!ずったずたのぎったぎたにしてやる!
……………だめだこりゃ
「アレ、先生。こんな所でたそがれてどうしたんですか」 「…小太郎さん。どうしてあの子達はあーなんでしょうか、どう思います」 「あの子達とは?」 「……晋助さんと銀時……」 「すっかりやつれてますね、先生。…あの二人はもう放っといたほうが無難です、どうしようもありません」 「もう好い加減彼らの果てしない悪行に耐えかねる心地なんですけどね、だって今月入って掛け軸は破られ障子は穴だらけ茶碗は割られ湯飲みも割られ、挙句の果てに私の可愛い盆栽ちゃんが木っ端微塵ですよ、コレどう思います」 「どうしようもないですね、将来ロクな大人にならん事は間違いないでしょう。でも安心して下さい、先生の遺志はおれが絶対見事に継いでみせますから!」 「…遺志って…人を勝手に殺さないでくれます、小太郎さん」 「でも、よく耐えてますね、先生。おれだったら、きっと怒り狂いますよ。破門しますよ、奴らを」 「そうしたいのは山々なんですが、何だかんだ言って可愛いんですよねぇ、甘やかしちゃうというか。物凄い腹が立っても、あのあどけない顔見てると怒る気も失せるというか」 「…先生、もしやアレですか、今はやりのロリコンとかいう…」 「違います!違いますからァァァ!そういうのじゃないですからァァァ!…そんなんじゃなくて、アレです、親心ってやつです」 「…先生から生まれてきた覚え、奴らには無いと思いますが」 「アハハ、そうですね。でも親心ですよ、親心。結局何してても可愛く見えるんです。あなたもね」 「???」 「じきに分かります。大人になれば」 「大人になれば、アイツらが可愛く見えてくるんですか?」 「や、そういう意味じゃなくて…」 |
顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する