身体…動かない。
血に濡れた着物、冷え切って凍っている。
動けない。動かない。

死。

 

 

これでやっと楽になれるのかなぁ。
死んだらどこへ行く。俺が助けられなかった奴、俺が見殺しにした奴に会える?
でもやっぱ駄目だ。あいつらは天国だもん。地獄からじゃァ、顔を見えまいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 馬鹿者。人は死んだら星になるのだ。そこに善人・悪人の区別は無い。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬鹿ヅラ。このロマンチスト。
星なんざどこにも見えねぇよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 わしは宙へ行くぜよ。 』

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、行っちまえ。そんで帰ってくんな。
オメーには戦は似合わねェ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハハ。それにしても笑えるよ。誰のモンだかも分からねー墓場で死ぬたぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 手前には御誂え向きだろうよ。 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚、そうだなぁ、高杉。
そうだ、御前何処に居るんだ?今。この俺様を放りやがって。赦さねぇよ、御前。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 結局、手前も、俺から───… 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。
御前、もう居ないんだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ああ。眠い。
やっと眠れる。
やっと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さ、銀時。
もう晋助さんと喧嘩をしないって、先生と約束して下さい。
もう君たちと来たら、いつもいつも喧嘩ばかり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


これは夢だ。
アンタが此処に居る訳ない。
それとももうお迎えに来たのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君達の喧嘩の仲裁にはほとほと疲れ果てましたからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喧嘩じゃねぇよ。

もう寝かしてくれ 寒いんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれあれ、寒いという割には、身体はポカポカですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…嘘つくなよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おや、そんな意地を張っていると、今度こそ本当に喧嘩両成敗おばけが来ますよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来ねェよ、誰も…
嘘つき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も貴方の事を嫌ったりはしない。貴方は孤独ではない。
周りに皆居ます。私も居る。
ずっと一緒です、みんなみんな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘つき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、貴方が大切です、銀時。
とても大事な人。私は貴方の事を家族だと思っています。
でも、それは私だけ?
貴方は、私のことが嫌い?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘つき!!!!!!!

 

「せ、ん…せェ…」

辛いよ。どうして生きている。どうして独り。どうして死んだ。何で置いてった。どうして。どうして。

 

 

 

どうして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして。

 

 

 

俺は…

 

 

 

 

 

 

…泣いているんですか

泣いてちゃ分かりませんよ

そっち向かないで、こっち向きなさい

ねぇ、銀時

泣き止みなさい

 

私の家族の、かわいい銀時

 

銀時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「おーい、ババア。それ饅頭か?食べて好い?腹減って死にそうなんだ」
「こりゃ私の旦那のモンだ。旦那に聞きな」
 …なんっつってた、私の旦那
「死人がクチ聞くか。だから一方的に約束してやったんだよ」

 

 

 

 

アンタのばーさん老い先短けェーだろーがこの先はあんたの代わりに俺が護ってやるってよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一度、生きる…と。
護る為に生きるという、誓いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20100131 恭