私は隻眼の男が怖い。そして白髪の男も。どうして皆怖くないのかと問いたい。だって何を考えているか分かる?想像出来る?あんなに凄惨な過去を背負ってまで「護る」と云える男。「全て壊すだけだ」、と云って、大切な思い出の共有者を平気で斬ろうとする男。
確かにさぁ、好きだけど。漫画やアニメや、その他人様が書いているモノを見るだけで顔はニヤけるし。映画も見に行くけど。
でも怖いよ。確かに好きだよ。ある一点では嫌いとも云える。
でもね、こうやって、好き勝手に過去捏造して。申し訳無いなぁって、彼らに。だから真剣に向き合う。私が彼らを書く以上。彼らは生きている。きちんと考えなければ。そうでなければ、私が彼らを捏造し汚してまで小説を書く意味が無い。資格が無い。考える。
話変わるけど、幽○白書って知ってる?ちょっと前、流行ってた漫画。
実はね、ココ、それの二次創作サイトにしようと思ってたんだ(笑)戸愚幻好きだった。コエ幽とか。マニアックごめん。
その漫画に、仙水っていう男が出てくるんだけど。悪役。サイコキラー。アイツもやっぱり、怖くて好きで嫌いだった。私が今、隻眼と白髪を見る度に思うカンジョウと、近いかも。
何で幽○サイトにしようと思ってたか。理由はカンタン、「解せないから」。
小説サイトじゃなくて考察サイトにしようと思ってた。仙水、幽助、樹、…不可思議過ぎる。というのも、この漫画、冨樫氏が描かれたものなんですけど、スゴイんだよ。少年漫画とは思えない。ジャンプに載せるべきものじゃない。
っていうのもさぁ、本末転倒なんだよ。だから、モラルの転倒。主人公は戦闘狂でさ、セイギのカケラも無いんだよ。ああ、でも私元々「セイギ」の何たるかが分からないんだけどさ。親父が人食い妖怪で、自分も途中から妖怪に覚醒しちゃって、親父を助けるために、人間の捕食を容認しちゃうの。それまで人間を妖怪から護るために闘ってきたのに。びっくりするでしょ?これで主人公なんだよ。「俺が2、3人かっぱらってきてやるよ」って云うんだよ。他も色々、突っ込み所がいっぱいで、相手とのタイマンだとかにばっか凝ってさぁ。アレは子供向けじゃないね。私は好きなんだけど。
それで、その仙水って男なんだけども。
『主人公と同じ過去をもちながら悪に転向したキャラクター(=裏主人公)』なんだ。詳しくは漫画読んだ方が早いと思う。動画サイトとかでこっそり見てくるのもイイかも。ここで詳しく説明するのは、やめておく。だって今の私が話したいのは、コイツじゃない。
話が逸れ過ぎ。戻す。よいしょ。
じゃあさ、この方式に二人を当て嵌めてみようよ。確かに既存の法則だとか関係性に何でも当て嵌めてみるっていうのは悪習だろうけど。
『銀時と同じ過去をもちながら悪に転向したキャラクター(=裏銀時)』が高杉だとしたら?
どうよ?高杉クン。かなり、近いかな、という気はしたんだけど。まぁ、この場合の『悪』っていうのは、全て壊そうという破壊の意思を持つ者、とでも定義しておく。
私の高杉観は、コレに近い。
銀時に欠けている、復讐だとか、憎悪だとか、そういった負の面全てを、彼が一身に引き継ぐ、担っている、背負っているように思えるから。
「一番 この世界を
憎んでいるはずの銀時
(やつ)が耐えているのに…」とは桂の台詞である。あの高杉よりも?高杉の反論は無し。「俺の方が憎んでらァ」とかね、云えば、こんなにヤキモキする事は無かっただろうに…。
銀時が怖い理由は、いつでもラスボスになれる要素持ってるから。その話が本当だとすれば、高杉よりもっと『悪』の資質持ってるワケですよね。のらりくらり、目が死んだり輝いたり、いつも強い。弱いところって余り見えない。彼が間違った選択をした事がある?沢山の人に囲まれて愛されている主人公。でもその奥には?何がある?きっと真っ暗だろう。恐ろしい。少なくとも彼は、感情移入型、読者共感型のキャラクターではないと思う。私は彼に感情移入出来た事など、恐らく一度も無い。私は、必死に彼から侍魂を見出し学ぼうとする、未成熟で弱い新八に、きっと自分を重ね合わせている。物語はそういう構成になっている。だから、新八と一緒に、銀時に憧憬を抱く。どうだろうか。あなたは?
彼らの過去を考える。
さっぱり分からん。分からなすぎ。否、こりゃ逆説だ。分からないからいいんだろっていう…ああもう、私は彼らを食い物にしているような気がしてならない。捏造してすいません…(泣)
攘夷戦争時の資料って少ない。とりあえず「白夜叉降誕」を見る。高杉、病んでない。普通じゃん。目、死んでない。銀時と仲悪そう。へぇ、でも、揶揄にしたって、手を貸すくらいには仲良し。そうだよ、病んでないじゃん…仲間想い、って感じ。
今。この世界は俺たちからあの人を奪った
あの人を奪ったこの世界をブッ潰すしかあるめーよ、って云ってるけど、それを理由にするのはおかしくはないか?もっと他に理由が…鬼兵隊粛清?それじゃあ、幕府や天人だけを憎めばいい。中央(天導衆?)と春雨の仲を取り持つのはおかしい(コミックス二十巻参照:万斉の言より)。かつての仲間が「裏切った」のが赦せない?なら彼らだけ殺せば。
攘夷戦争中と今とでは、隻眼の男は別人だ。顔つき。性格。其の片目と一緒に、何かを落としてきたのか。変わったのは、何がきっかけだ?先生の死が理由なら、もうとっくに狂っている。
リセットさせようとしている?リセットしてどうする。ゲームじゃない。最初から始められる訳が無い。大義も無い。思想も無い。
無だ。
壊したあと、どうする。何も無いじゃないか。死ぬのか?
…確かに、自刃しないという可能性がない訳ではない…ぶるる。
故意に狂っているように見える。私がおかしい?
頭が好い男。難しい…段々頭の中も、文章も、ぐちゃぐちゃになってきた。
白夜叉に固執する男。私にはそう見える。祭りでの初登場の時にそう思った。
男の目的は何?見ていても、銀時や桂にちょっかいをかけたいようにしか見えない。阻止しようとする彼らが邪魔なんだろ。殺すつもりなら本気でやれ。何がしたい?獣がじゃれついてるみたい。この位では死なないだろうな、って思いながらやってるように見えるけど。「同志」なんざ甘っちょろいモンじゃないらしいが。
『銀時と同じ過去をもちながら悪に転向したキャラクター(=裏銀時)』が高杉って云ったのはさ、高杉が、たまに銀時に見えるからだよ。…ええと、これじゃ語弊があるかも。顔が似ている、とかじゃなくて、銀時が、もしもの話だけど、ラスボスだったら、きっと彼に似ているねっていう。桂や坂本は絶対なれない。大義・正義…自分の信念・思想がある。良くも悪くも、悪役になっても、筋が通っている。間違っても、私怨とほざいて、狂気の道を進んだりはしない。
高杉と銀時には無いよ。大義も正義も信念も思想も。常に自分の思った通りに動いている。そこが二人の共通点。人を惹きつける。それも。
高杉が生贄のように思えてくる。物語の生贄。銀時が背負うはずの、背負っているはずの、世界への憎悪憤怒全てを背負わされているような。
私が悪役好きなのはそこから。だって悪役居ないと正義は語れないでしょ?読者のヒーローへの自己投影の為の犠牲。物語の生贄。これ云っちゃあ確かに本末転倒だが。
「一番 この世界を
憎んでいるはずの銀時
(やつ)が耐えているのに…」と、「白夜叉降誕」の最後、炎に包まれ焼け落ちて行く家屋(村塾?)、その前で拳を握り締め、「先生ェェェェェ!」と絶叫する銀時。この二つを考えて妄想してみると、先生は多分何者かによって殺されたんだろう。天人か幕府の役人、どちらかだとは思うが。そして、その炎が燃える中、何も出来ず無力に震える銀時。「敗者(負け犬)」「臆病者」と自己を銘打つ辺り、自己嫌悪の念が垣間見える。
年月が経っているのに、死んだ仲間たちの事を忘れられぬ隻眼。それは恐らく桂や銀時も一緒だろうが、その歪みきった一途さは何とも言えぬ…ここから、私は、実は一番優しく仲間想いなのはこの男なんじゃないかと思う訳だ。それが現在進行形にしろ、過去形にしろ。
白髪、羨ましくはないか。心の底には、未だ誰よりも強い怨嗟の念が渦巻いているだろうに。御優しい隻眼は、耐え切れず堕ちた。辛くはないのか。平和で惰弱な世界、皆、お前らが戦ったこと、国を想い斃れていった者が居たこと、全て忘れていってしまう。本当は、一緒になって全てを壊したいのではないか…と、私は、悪役のように思い、彼を唆している(笑)
じゃあ、これはどうだ?隻眼。お前も、そんな事言っておきながら、白髪が羨ましいんじゃないのか。同じ過去を背負い、同じヴィジョンを持ちながら、それでもなお「護る」と言って退ける強靭さ。気高さ。何度潰されても立ち上がる男。闇に進むしかない自らとは違い、光に進める男。
鳳仙を思い出す。太陽に焦がれていた。届かぬ光、己にない光に焦がれ、誰よりも疎み憎み、そして羨み。
隻眼は考える。俺より激しい怒りと憎しみと恨みと哀しみを秘めている癖に、御前は何故。
大義名分掲げぬ二人。
村塾時代はどうだろう。御優しい隻眼(昔は違うけど、敢えてこの名前で)。
今も昔も正直かつ真っ直ぐな桂はともかく、高杉は捻くれた性格ではなさそう。桂は松陽の言う事なら何でも聞くが、高杉は、先生に強烈な憧憬の念を抱いているが故に、銀時の存在を赦せないんじゃ。
だって、あの時の銀時なんか、屍渡り歩いて放浪ですよ。きっと、字も書けなければ読めもしない。人とロクに話した事も無いんじゃ。松陽と初めて出会った際、何も言わず抜刀して血塗れの刀を構え。場慣れしている様子。その人並み外れた容貌(美しい…という意味ではなくて、アルビノ的な)から、もう人避けにはなっていただろうが、それでも近寄る輩(盗賊・死体を狙う野犬など)は斬捨ててきたに違いない。
そんな、動物同然の子供を、孤独な子供を、松陽が構わない訳が無いっ!!!(どどーん)
今の彼の適応能力(笑)を見る限り、彼を動物から人間にしたのは松陽だ。松陽の教育の賜物だ。身寄りが無い銀時を引き取って、寝食共にして、惜しまず愛を与えて。
という所で、やっぱり高杉は銀時が気に食わない。突然先生に着いて来た変な子供が居る、と思えば、何も出来ない。勉強の「べ」の字も無い。読み書きも出来ない。コミュニケーション能力が激しく欠如している。先生が構う。先生が構うから桂も気にする。な、何なんだあいつはっ!!!
まぁそれでも、銀時が段々人間らしくなってきて、年相応に笑顔を見せたり、遊んだり、という事が出来るようになってからは、仲良しだったと思いますけども。桂も先生も安心したに違いない。あ、これら全て妄想ですけど。
その矢先ですよ。またも「白夜叉降誕」から引っ張り出してくるあのシーン。
アレさぁ、周りに桂も高杉も居ないよねぇ?って事は、最期(?)を見届けたのは銀時だけって事?
辛いね。自分を人間にしてくれた人、陽だまりへと連れてってくれた人、愛を教えてくれた人、まだ幼いのに。早すぎる。護れなかった。護れなかった。無力な、負け犬。
これが、銀時が自己嫌悪を抱く最初のきっかけじゃないだろうか。
きっと仲間の事では怒るだろう。嘆くだろう。哀しむだろう。だが自分のコトとなると。無表情無感動何も感じない。そうする資格が無いと思っている。誰にも弱みは見せぬ、縋らぬ。ただ斬って斬って。一人で傷つき。自分を憎み。だったらいっその事、人間止めてその名のように夜叉にでもなれ、何も感じず考えず、刀を振るい続けろ、とオヤサシイ高杉クンは思うのだ。だから白夜叉に固執する。白髪もそのヤサシサに気付きながら、鬼の面を被って。誰よりも前線で戦い。死ぬ事も赦されず。そうして、血に塗れてまた一人に。そうだ、せんせい。せんせいはどこ?せんせいなら、屍骸に埋め尽くされたここから連れ出してくれるのに。…もう、居ない。誰も来ない。オレガコロシタカラ。
罰が欲しいか。罰を欲するのなら俺が与える。彼らにとってセックスと殺人は似てる。纏っている面を力づくで剥がして、屈服させ、蹂躙し、跪かせ、啼かせて、大声出させて、縋らせて、みっともない醜態を晒させる。白髪もその時だけは忘れられる。そうして擬似的に自己が殺された気になっている。「先生を殺したのは手前だ、」って言われて、喘がされて、きっと満足している。ドMでドS…否、つまり、一番赦せぬ自分にドS行為を働く。そうそう、ドSの人って、自分に対してもS行為働くから、ドMになるんだってね。気をつけた方がいいよ、沖田クン(ぇぇぇぇ)
泣けない鬼。その脆さ。強さ。相反する属性。
だから高杉は彼に憧れる。白髪は逆に彼の優しさに憧れる。
だとしたらそれは痛烈な皮肉である。お互いがお互いに憧れるが故に一生交わらない平行線を描き出す。憧れとは相手を理解する類の感情ではない。何処まで行っても、一方通行である事に変わりは無いから。間に相互不可侵の聖域の記憶。…あの人との、幸せな記憶。この共有が互いを近付け、互いを阻み。互いの姿を見ているようで、そこには己一人しか映っていない。だから決して交わらない…コレ、どうしようもないじゃん…
今はどう?
隻眼の男の言い分は、詭弁にしか聞こえてこない。先生の敵。鬼兵隊。世界が憎い。何がしたい。敵が憎くないのか?幕府は?天人は?…それに迎合する民衆も、ひいてはこの国が赦せぬと。
滅茶苦茶じゃないか。御前の敬愛する人が、それを望んでいたか?あの人は、この国の為にと、誇りのために、護るためにという教えを御前に授けたんじゃないか。御前が誰より先生を裏切ってるんじゃないか。大義も正義も掲げず、ただ「全てを壊したい」とまで言って…。
それが分からない程、馬鹿な男じゃないはずだが。だから故意にやっているように私の目には映る。
御前は弱い男だったか?狂気の世界に逃げ込まなければならなかった程?違う、と思うが。本当は理由なんかないんだろ。どうでもいいんだろ。
最初は先生の教えを絶やさぬように、仇を、とでも思っていたんだろう。次は。仲間の死が許せなかったか。白髪のように自分を憎悪した事はあるか?そうして鬼兵隊まで粛清。目的を追っていって、───仇討ちに向かっていったんじゃあなかったのか───ここまで来て目的の消失。何が御前を変えた。憎しみ、その一点?
白髪は御前の支えにならなかったのか。自分より昏い闇を抱えている男。必死にもがいている男。それとも反面教師?白髪が怒らないから御前が怒るのか?
じゃあ何がしたいんだよ。思考停止の快感?自虐?夜叉の襲名をするかのように、奴の憎しみを代弁しているように見えるのは気のせい?引き継がれる。推測が外れている事を願う。…まぁ、推測というより只の妄想。死。
白髪の亡霊の如き怨恨は何処へ。
きっと男はもう護りこそすれ誰も愛さない。
死にたいのか。なら一人で死ね。ああ、仇討ち?先生を、仲間を殺した自分を、世界を、まだ生きている仲間を、殺すという事?言い方がくどい。詰まりは無理心中だろう。…相手が、世界だというだけで。
それとも、殺して欲しいのか?誰に?かつての仲間に?分からない。こっちまで気が狂ってくる…頭が痛い。
銀時は高杉を止められる?本当に?じゃあ、殺せる?じゃあ高杉は?
勝てますか。
どっちが勝ちますか。
止められないんですか。
シアワセにはなれないんでしょうか。
…ワタクシより頭の良いだろう皆様の手を借りたい。意見求ム。切実。
20100203 恭
|